刀と結婚指輪

刀は消えゆく

江戸時代から明治へ移った際、多くの刀職人が路頭に迷ってしまいました。刀の時代が終わり、彼らは用なしとなったからです。しかし時代が変わったからとはいえ、いつまでも路頭に迷う訳にはいきません。
そこで職人達は、当時超トレンド最先端のジュエリー業界に進出。刀鍛冶で培った技術をジュエリーに応用し、日本独自のアクセサリーを次々と制作。クオリティはかなり高く、当時のセレブに人気があったようです。

木目金の結婚指輪

木目金(もくめがね)と呼ばれる手法が用いられた結婚指輪は、注目されています。全体的なシルエットはシンプルなものですが、アームには木目の模様が施されています。
上からペイントされたものではなく、違う種類の金属を用いて木目模様を作り出しているのです。緻密且つ大胆なデザインは、一度見ると忘れられません。指輪を見る角度や光の当たり具合により、木目金の結婚指輪は色んな表情を見せてくれます。なので何十年と飽きることなく、使い続けられるのも大きな特徴と言えるでしょう。

木目金は元々刀の装飾に使われた技法

今でこそ木目金は結婚指輪に使われていますが、かつては刀の装飾に使われた技術でした。しかし冒頭にも挙げたように、明治になると刀は用なしに。木目金の技術も、夢幻と消えていったのです。そこで何とか復活させようと、当時の学者や研究者が集結。試行錯誤を経てようやく、蘇ることができました。
現代では形を変えて、結婚指輪として木目金が使われるように。木目は年月を重ねて生み出される模様であるため、縁起物としても使える逸品となっています。

刀と結婚指輪

刀と結婚指輪。一見すると何のつながりもないアイテムですが、歴史を紐解くとかなり密接に繋がっていました。刀と指輪を結び付けるのは、木目金だけではありません。結婚指輪の作り方の1つである鍛造も、刀と密接な繋がりがあります。
刀は金属を叩いて鍛え上げて生み出されるもの。鍛造も材料となる金属を叩いて鍛えながら、形を整える手法。「偶然」と言われたら反論はできませんが、こうも偶然は重なるものでしょうか。